2019/11/02 13:56


今季から取り扱いをスタートさせようと構想していた、知人のデザイナーが展示会前に過労でぶっ倒れました。
彼とは服飾学校から10数年来の付き合いで切磋琢磨した大切な同志です。
頑固で努力家で今世の中に存在しないものを作るんだって服飾学校卒業から今の今まで来る日も来る日もたった一人で服を作り、バイトを掛け持ちし、紆余曲折あってようやく正式にコレクションを発表できるという最中の出来事でした。
展示会前の状況が知りたく何度も電話しておりましたが反応もなく、よほどテンパっているんだろうなと思っていたら一通のラインが届きました。「ごめん。倒れて展示会開けなかったって。アパレルを離れようと思うって。シバが精力的に頑張っている時にこんな報告になってしまってごめん。」と。とにかく心配で最初は労いの文章を送りました。でも、冷静になって考えて見たらなぜ倒れたくらいで諦める?そんなにやわな夢なの?と悔しさと怒りが込み上げてきました。関係のない人からすれば病人に追い打ちをかけるの?鬼畜か?と思われるかもしれません。でもね、アシスタント(従業員)がいたり家族がいたり、守るべき存在がいたら簡単に仕事(ブランド)を放り出せるのか?逃げれるのか?と思うのです。独り身の彼には失うものなんてないんです。じゃなきゃここまで全ての生活を犠牲にしてまで服に全精力を注いで来なかっただろうと。我が子(服)を世の中に出す前に諦めてどうする。好きなら死ぬ気で最後までやれよ!と。どん底は誰にでもある。そこから這い上がれるかどうかが真の力を試される時なんだって。リスタートだよ。頑張れ。と伝えましたが、何の返信もありません。もしかしたらここで縁は切れるかもしれません。でもいいんです。ウソをついて優しくしたって彼にとって何の意味もありませんから。
絶対彼はまた必ずカムバックしてくれると私は信じます。ファッションデザイナーといういばらの道を志した者の相当な覚悟。それしきのことで揺らぐはずがないのです。